40代でもICLは選べる?

ICL

40代でもICLは選べる?眼科医が正直に伝える判断のポイント


※この記事は2026年7月に内容を更新しました。

「40代でもICLは受けられますか?」

この質問は、外来でよく受けます。

そのたびに私が思うのは、

「年齢だけで答えが出るものではない」

ということです。

40代のICLには確かに注意が必要な点があります。

でも「40代だから無理」とも言えません。

この記事では、40代でICLを考えるときに本当に大切な判断軸を整理します。


年齢より大切な、3つの論点

40代でICLを検討する際、私が確認するのは年齢よりも次の3点です。

① 老眼はどのくらい進んでいるか

40代以降、誰でも少しずつ老眼が進みます。

ICLは自分の水晶体を残したまま入れるレンズなので、

老眼そのものを解消することはできません。

遠くにしっかりピントを合わせてしまうと、

近くを見るときに老眼鏡が必要になることがあります。

② 白内障の有無・進行度

50代が近づくにつれて、水晶体は少しずつ変化してきます。

早期の段階ではまだICLが選択肢になりますが、

白内障が進んでいる場合は、

ICLよりも白内障手術で屈折矯正を行う方が合理的なことがあります。

③ 何年間、どんな見え方を求めるか

ICLは必要があれば取り出すことができ、

後から白内障手術に移行することも可能です。

「今から何年間、どんな生活をしたいか」を考えることが、

判断の出発点になります。


40代のICLで多くの方が気にするのが、老眼との兼ね合いです。

40代のICLで多くの方が気にするのが、老眼との兼ね合いです。

ICLはあくまで屈折矯正手術です。

そのため基本的には正視(遠くにしっかりピントが合う状態)を狙うのが一般的です。

ただ、私個人の考えとしては、

老眼が進んできた方については「低矯正」という設定も、

ひとつの選択肢として持っておいてよいのではないかと思っています。

低矯正とは、完全に正視にするのではなく、

あえてわずかに近視を残した状態にすることです。

残った近視の分、老眼の影響を感じにくくなる効果が期待できます。

その代わり、遠くの見え方は完全矯正に比べて少し劣ります。

「遠くを完全に見えるようにしたい」という方には向かない考え方ですし、

これはあくまで私の判断軸のひとつであり、

担当医によって方針が異なる部分でもあります。


この判断をするうえで、私がしっかりと確認するのが現在の矯正状況です。

普段コンタクトだけで生活しているのか、メガネも使うのか。

コンタクトやメガネの度数はどのように設定されているか。

たとえばコンタクトをわずかに低矯正にして遠近のバランスを取っている方や、

帰宅後はコンタクトを外してスマホを見ている方は、

すでに「少し近視が残っている状態」に慣れていることが多いです。

そういった方には、ICLでも同じような度数の設計を意識することで、

術後の違和感が少なくなる可能性があります。

逆に、遠くをできる限りはっきり見たくてフル矯正のコンタクトを使っている方には、

低矯正の設計は合わないこともあります。

どちらが合うかは、生活スタイルと求める見え方、

そして今どんな矯正状況に慣れているかによって変わります。


選択肢の概観

40代で近視矯正を考えるとき、ICLだけが選択肢ではありません。

現時点での主な選択肢を簡単に整理します。

ICL(EVO ICL)

世界で300万眼以上の実績を持つ、後房型の有水晶体眼内レンズ。

長期データが豊富で、安全性の根拠が積み重なっています。

取り出すことも可能で、後からの選択肢を閉じません。

IPCL

2025年に日本でも承認された、ICLとは別メーカーの有水晶体眼内レンズ。

適応できる乱視の範囲が広く、老眼に対応した多焦点タイプも存在します(ただし日本未承認)。

ICLと比べるとまだ実績の蓄積が少ない段階です。

詳しい比較はこちらをご覧ください。

RLE(屈折矯正水晶体手術)

50代が近づいてきたときに視野に入る選択肢。

水晶体ごと眼内レンズに置き換える手術で、

老眼・近視・乱視をまとめて対処できる可能性があります。

ただし不可逆的な手術であり、慎重な判断が必要です。

50代の目の変化とRLEについて、詳しくはこちらをご覧ください。


よくある質問(FAQ)

Q. ICLの適応は45歳までと聞きました。40代後半では受けられませんか?

「45歳まで」というのは一般的な目安ですが、絶対的な制限ではありません。老眼の程度・目の状態・何を求めているかによって、45歳を過ぎても検討できるケースがあります。一律にお断りするものではなく、個別に判断しています。

Q. 低矯正にすると、どのくらい遠くが見えなくなりますか?

低矯正の設定にもよりますが、日常生活には支障がない範囲で行うことがほとんどです。運転の視力基準は満たせることが多く、気になる場面だけメガネを使うというスタイルにする方も多くいます。

Q. ICLを入れた後で白内障になったらどうなりますか?

ICLを取り出してから、通常の白内障手術を行うことができます。ICLは「行き止まりの手術」ではなく、将来の選択肢を残した手術です。

Q. 40代でICLとRLE、どちらを選ぶべきですか?

年齢・白内障の進行度・老眼の程度・ライフスタイルによって変わります。一般的には40代前半ではICL、50代に近づくにつれてRLEが視野に入ってくるイメージです。ただしこれは目安であり、個別の検査と相談が前提になります。


医師として、正直に伝えたいこと

40代のICLを「やめておいた方がいい」と一律に言うつもりはありません。

でも「どんな方でも大丈夫です」とも言えません。

老眼の状態、目の状態、求める見え方、生活スタイル——

これらを踏まえて、一緒に考えることが大切だと思っています。

「希望があればとにかく勧める」ではなく、

「その方の目と生活に合うかどうかを考える」というのが、

私の基本的なスタンスです。

気になることがあれば、まず相談してみてください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の適応については、必ず眼科専門医による診察と検査のもとでご判断ください。

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