ミニウェルシリーズとウェルフュージョンシステムとは?

多焦点眼内レンズ

多焦点レンズシリーズ「ミニウェル」

⭐️「自然な見え方」にこだわり、眼鏡依存度を減らす生活にこだわったシステム⭐️

ミニウェルは、イタリアのSIFI社が開発した焦点深度拡張型(EDOF)レンズで、2023年から日本でも使用可能となりました。

シリーズには、

• Mini Well Ready(標準型EDOF)

• Mini Well PROXA(近方強調型EDOF)

があります。

今回はミニウェルの2つのレンズの特徴と、「ウェルフュージョンシステム」についてご紹介します。


① Mini Well Ready(ミニウェル・レディ)

–標準的なEDOF。ハローグレアが少なく自然な見え方–

EDOFレンズであるミニウェルレディは、従来の回折型多焦点眼内レンズのような回折構造がないため、コントラスト感度が良好で、ハローグレアもかなり少ないという特徴があります。

ただ一方、50cm以下の手元は見えにくいという弱点があります。

▶️EDOFレンズと回折型多焦点レンズの比較

特徴EDOFレンズ(Mini Wellなど)回折型多焦点レンズ(PanOptix、Synergyなど)
焦点の仕組み焦点を“帯”で広げる遠・中・近の焦点を分けて設計
見え方の滑らかさ ○
ハロー・グレア少ないある(特に夜間)
コントラスト感度高めやや低下することがある


② Mini Well PROXA(ミニウェル・プロクサ)

–近方をより強調したEDOF。読書やスマホ重視の方に–

Mini Well Readyの近方が見えにくいという弱点を補うべく開発されたのが、Mini Well PROXAです。

ただし、近方視力に優れる反面、遠方視力はReadyよりやや劣り、両眼にPROXAを入れると遠方視力に不満が出る可能性があります。

▶️製造元SIFI社の記載:

“PROXA provides enhanced near and intermediate vision, with slightly reduced performance in distance compared to Mini Well Ready.”

(PROXAは近方・中間視力を強化するが、遠方視力はMini Well Readyに比べてやや低下する)


💡 そこで、ReadyとPROXAを両眼に組み合わせたシステムが「WELL Fusion(ウェル・フュージョン)」です。

WELL Fusionは、Mini Well Readyを優位眼に、Mini Well PROXAを非優位眼に挿入することで、

両レンズの長所を活かし、それぞれの短所を補い合うシステムとなっています。

WELL FUSIONの臨床データ(ESCRS 2023より)

2023年にスペイン・ウィーンで開催された**ESCRS(欧州白内障屈折手術学会)**では、WELL Fusionの22ヶ月後の視力成績が報告され、注目を集めました。

 22ヶ月後の成績:

• 遠方視力:両眼で1.2相当の良好な視力を維持

• 中間視力(63cm):新聞・料理・PC作業に最適(視力0.8相当)

• 近方視力(40cm〜33cm):読書・スマホ距離で1.0前後

• デフォーカスカーブ:遠〜近まで滑らか

 見え方の質も良好:

• ハロー・グレアが少ない

• コントラスト感度も高い

• 主観的満足度も高く、“もう一度このレンズを選ぶ”と答えた人が多数


🤗私からのひとこと

EDOFレンズは、

• ハローグレアが少ない

• ピント移行が滑らか

• コントラスト感度が高い

などのメリットがあるのに対し、50cm以下の近方が見えにくいという制限があります。

EDOFレンズであるミニウェルシリーズのWELL Fusionシステムはこの課題を克服し、

自然な見え方と快適な日常視を両立する優れた選択肢です。

ただし、WELL Fusionシステムには以下のデメリットがあります。

• 自由診療のため費用が高額

• 国内での実績がまだ少ない

• 両眼手術が前提(片眼がすでに手術済みだと適応にならない)


まとめ:ミニウェルウェルフュージョンシステムはこんな方におすすめ

✔️ 夜間運転をする方

✔️ ハロー・グレアが苦手な方

✔️ 色味や見え方の“質”を重視したい方

✔️ 近くをしっかり見たい方

✔️ メガネを極力使いたくないが、自然な見え方を優先したい方

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