はじめに
「RayOne Galaxy(レイワン・ギャラクシー)」は、2024年に登場したばかりの革新的な多焦点眼内レンズです。AIによるシミュレーションを通じて設計されたらせん状構造を持った最新の多焦点IOLです。
RayOne Galaxyは2024年7月にヨーロッパCEマークを取得し、ヨーロッパで販売しています。日本では自由診療のみでの取り扱いになります。
【RayOne Galaxyの特長】
■ 非回折型×らせん状構造:連続した自然な見え方を実現
RayOne Galaxyは、光を分割する従来の回折構造を採用せず、代わりに独自のらせん状プロファイル(Spiral Pattern)によって連続的な焦点を実現します。
・回折型に比べてハロー・グレアが少ない
・光エネルギーロスが小さく、明るい視界を提供
・連続的でスムーズなピント移動で、自然な見え方
RayOne Galaxyは、遠方から30〜40cm程度までカバーします。
Galaxyのらせんパターンは、まるで渦を巻くように光を導き、自然につながったピント移動を生み出す設計です。EDOF型レンズのようにハローグレアが非常に少なく、コントラストの良い視界でありながら、中間距離から近方(PC・スマホ・読書距離)までをカバーしています。特にスマートフォンをよく使う方にとって、30〜40cmの視野が自然に見えるのは大きな利点です。
Rayner社のホームページでは「光の損失なし」と表現されていますが、これは光学理論上、回折によるエネルギーロスがゼロであることを示しています。ただし、実際には素材や設計要因により、実測上は数パーセント(おおよそ5%未満)のエネルギーロスがあるとのことです。
*以下はギャラクシーのホームページ参照して解説します。・

シミュレーション画像では、光のロスが非常に少ないギャラクシーの方がくっきりと明るく見えます。

- Galaxyは特に近方でのコントラスト感度に優れており、有意差(p=0.005)ありと示されています。
- 遠方ではGalaxyにやや優位な傾向が見られるものの、有意とは言えない(p=0.051)。
- 中間距離では両者の差は小さく、有意差なし(p=0.495)。
➡️Galaxyは、近くを見るときの“くっきり感”がより高く、特に読書やスマートフォン使用時に見やすさが向上する可能性があります。

*ギャラクシーのホームページ参照
健康な目をもつ30人の視覚シミュレーション調査では、遠く(4m)・中間(74cm)・近く(40cm)すべての距離で、ほとんどの人がGalaxyの見え方のほうが好ましいと感じたという結果が出ています。
【何が画期的なの?】▶️ AIによる設計最適化です
AIを用いて「人が要望する快適な見え方」を研究、人間の視覚モデルや手術後の視機能など数百万件に及ぶ臨床条件を仮想空間で再現し、それを実現するためのレンズ構造を最適化しました。それにより、焦点深度(見える範囲)・視力の連続性(より自然に)・コントラスト感度(よりくっきり)のバランスが最も取れる新しい設計が導き出されました。
【どんな方におすすめ?】
RayOne Galaxyは以下のようなニーズをもつ患者さんに特に適していると考えられます:
・夜間運転が多く、ハロー・グレアを避けたい方
・PC作業やスマートフォン操作など中間〜近方の見え方を重視する方
・コントラスト感度や明るさを重視する方
・自然なピント移動を求める方
・より先進的なレンズを希望する方
【現時点の課題と今後の展望】
RayOne Galaxyはまだ国内症例が少なく、国内での術後視力の安定性・適応範囲・満足度などのエビデンスはこれからです。AIによる設計と新しい構造をもつ本製品が、日本人の眼にどうフィットするか、今後の発表に注目が集まります。
今後の臨床報告により、日本でのニーズとの相性が明らかになってくると思います。
【まとめ】
RayOne Galaxyは、非回折型かつAIによる最適化設計を取り入れた、新しい時代の多焦点眼内レンズです。螺旋状の光学デザインにより、連続焦点・自然な見え方・低グレア・高明瞭度という理想を追求しており、今後の臨床報告が期待されます。
これから白内障手術を検討される方にとって、Galaxyは「明るく、自然で、快適な見え方」という新たな選択肢となるかもしれません。
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