〜自然な見え方を求める方へ〜
白内障手術で「多焦点眼内レンズに興味があるけれど、どれを選べばいいか分からない」という方は多くいらっしゃいます。
最近とくに注目されているのが、EDOF(Extended Depth of Focus:焦点深度拡張型)というタイプです。
「自然で違和感が少ない」「夜間のまぶしさが少ない」と言われるEDOF。
では実際、どこまで見えるのでしょうか?
EDOFとは?
多焦点眼内レンズには大きく分けて2つのタイプがあります。
- 回折型:遠・中・近の3点に焦点を分け、ピークのある見え方を実現。
- EDOF型:焦点を“伸ばす”ことで、遠くから中間までを連続的に見やすくするタイプ。
EDOFは「焦点のあうところを増やす」のではなく、「焦点の幅を広げる」レンズ。
そのため、遠くから中間まではスムーズにピントが合い、夜間のハロー・グレアも少ないのが特徴です。
どこまで見えるの?
EDOFレンズの見え方を距離別にまとめると、次のようになります。
| 距離 | 目安 | 見え方のイメージ |
| 遠方(3〜5m) | 運転・テレビ視聴 | ◎ はっきり見える |
| 中間(60cm〜1m) | パソコン・料理 | ◎ 快適に見える |
| 近方(30〜40cm) | スマホ・読書 | △ 少しぼやける/老眼鏡必要 |
つまり、遠くと中間は裸眼で快適、手元は少し老眼鏡が必要というのがEDOFの一般的な見え方です。
ただし、「近くももう少し見たい」という希望には、いくつかの工夫があります。
代表的なEDOFレンズ
① AcrySof IQ Vivity(アルコン)
EDOFレンズの代表格。
遠方〜中間が非常に自然で、夜間のハロー・グレアがほとんどありません。
「多焦点のギラつきは苦手だけど、遠くもパソコンも快適にしたい」という方に人気です。
② PureSee(ピュアシー/J&J)
焦点を連続的に伸ばす設計で、コントラストを保ちながらも自然な見え方を実現。
従来の多焦点に比べて「違和感が少ない」「適応しやすい」という声が多く、
医師の間でも注目度が高い、次世代のEDOFです。
③ アイハンス(Tecnis Eyhance/J&J)
厳密には「EDOF機能を付加した単焦点レンズ」。
遠方をメインにしながら、少しだけ中間にもピントを伸ばした設計。
保険適用の範囲で自然な見え方を求める方に適しています。日本では、EDOF機能があるものの、単焦点レンズの位置付けです。
「通常の単焦点より少し広く見える」という絶妙な位置づけです。
④ Mini Well Ready(ミニウェル・レディ/SIFI社:イタリア)
ヨーロッパを中心に良好な臨床評価を得ているEDOFレンズです。
光学的な“波面制御”により、遠・中・近の焦点をなめらかにつなぐ構造で、
コントラスト感度が高く、ハロー・グレアが少ないことが特徴。
ESCRS 2023での報告でも、遠方〜中間に加えて40cm前後の近方視力も良好で、眼鏡依存度が低い結果が示されています。
自然で連続的な見え方を求める方に適しています。
EDOFでも「手元を重視したい」場合は?
EDOFレンズは遠く〜中間が得意ですが、
「もう少し手元も見たい」という方には、次のような工夫を行うことがあります。
- やや近視よりに設定する
→ 遠くは少しぼやける可能性があるものの、40cm前後の手元が見やすくなる。
- ミニモノビジョン(左右で少し度を変える)
→ 片眼で遠く、もう片眼で少し近くをカバーすることで、両眼で自然な範囲を広げる。
- ミックス・アンド・マッチ
→ 片眼にEDOF、もう片眼に多焦点(回折型)を組み合わせることで、
遠・中・近のすべてをカバーする。
- ミニウェル フュージョン(Mini Well Fusion)
→ 片眼にミニウェルの近方重視デザインのレンズを入れて、両眼で明視域を拡大し、EDOFの自然さを保ちながら近方も強化する方法。
いずれも自然さを損なわずに見える距離を広げるための工夫です。ライフスタイルに合わせて設計をカスタマイズできます。
EDOFが向いている人
- 夜の運転をよくする
- ハロー・グレアを避けたい
- 自然な見え方・コントラスト(はっきりした視界)を重視する
- スマホよりも、会話やパソコンなど中間距離が多い
- 少しは眼鏡を使っても構わない
EDOFが向かないケース
- 手元のピントを重視している
- 老眼鏡を極力使いたくない
- 強い乱視や網膜疾患があり、レンズ選択に制限が出る場合
まとめ:EDOFは“自然さ”を求める人の選択肢
EDOFレンズは、遠くと中間を自然につなぎ、日常生活の8割を裸眼で快適に過ごせるよう設計されています。
すべての距離を完璧にカバーするわけではありませんが、見え方の自然さ・快適さ・夜間の過ごしやすさ を重視する方にはとても魅力的な選択肢です。
考え方の道筋はひとつではありません。
目の状態や生活スタイルによって、「どこまで見えるか」「どの距離を重視するか」は変わります。
それぞれの方がすっきりと納得して選べるように、日々情報をアップデートしていきます!






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