多焦点眼内レンズをすすめられたとき、最初に知ってほしい3つのこと

多焦点眼内レンズ

― 後悔しないために、手術前に考えてほしい視点 ―

白内障と診断され、

「多焦点眼内レンズも選べますよ」と言われたとき。

少し期待しつつ、同時に

「よく見えるなら、これを選んだ方がいいのかな?」

「でも失敗したらどうしよう…」

そんな気持ちになる方は、とても多いです。

今日はレンズの種類の話ではなく、多焦点眼内レンズを検討するときに

最初に知っておいてほしい大切な視点をお話しします。


「多焦点ってどうですか?」と聞かれたときに感じる違和感

外来でよく聞かれる質問があります。

「先生、多焦点ってどうなんですか?」

この質問自体は、とても自然です。

でも実は、私はこの聞き方に少しだけ違和感を覚えます。

なぜなら、多焦点眼内レンズは、「良い・悪い」で語れるものではないからです。


① 見え方は「良い/悪い」ではなく「合う/合わない」

多焦点眼内レンズについての情報は、

ネットにもたくさんあります。

  • よく見える
  • 眼鏡がいらない
  • 生活が楽になる

一方で、

  • 見えにくい
  • 夜がつらい
  • 後悔した

という声も見かけます。

でもこれは矛盾ではありません。

同じレンズでも、

「合う人」と「合わない人」がいる

ただそれだけのことです。

目の状態、脳の慣れ、生活の使い方。

それらが噛み合ったとき、初めて「その人にとって良い見え方」になります。


② 生活(仕事・運転・趣味)を聞かれましたか?

多焦点眼内レンズを検討するとき、

本来とても大切な質問があります。

  • どんなお仕事をしていますか
  • 夜の運転はどのくらいしますか
  • 趣味は何ですか
  • 何が一番ストレスですか

もし説明の中で、こうした生活の話がほとんど出なかったとしたら、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

 

見え方は、検査データだけで決まりません。その人の「毎日」によって価値が変わるからです。


③ デメリットをどこまで説明されたか

多焦点眼内レンズには、必ずメリットとデメリットがあります。

大切なのは、

「デメリットがあるかどうか」ではなく、

それをどこまで、どんな言葉で説明されたかです。

  • どんな場面で困りやすいのか
  • どのくらいの割合で起こりうるのか
  • 起きた場合、どう対処するのか

ここまで聞いて、

「それでも自分は納得できる、多焦点レンズを入れたい」と思えたかどうか。

それがとても重要です。


私が大切にしていること

私は、多焦点眼内レンズを「勧めること」よりも、

一緒に検討することを大切にしています。

  • この方にとって、何が一番のゴールなのか
  • どこまでを期待してよいのか
  • どこからは限界なのか

それを共有せずに「よく見えますよ、便利ですよ」といいところだけを強調しても、満足につながらない場合がありますし、不誠実だと思っています。


「後悔しない人」に共通するポイント

これまで多くの患者さんを見てきて、「後悔しにくい方」には共通点があります。

それは、

  • メリットだけでなくデメリットも理解している
  • 他人の評価ではなく、自分の生活を基準にしている
  • 「完璧」ではなく「納得」を目標にしている

ということです。

多焦点眼内レンズは、人生を便利にしてくれます。

でも、若い頃の見え方に戻る魔法ではありません

だからこそ、焦らず、比べすぎず、

自分にとっての「いい感じの見え方」を考えましょう。


もし今、「すすめられたけれど、少し迷っている」

そんな状態であれば、迷っていること自体が、とても健全です。

その迷いを、きちんと受け止めてくれる検査員や医師と一緒に考えていくことが、

後悔しない選択につながります。

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