白内障は、ある日突然なる病気ではありません。
年齢とともに、ゆっくり、少しずつ進んでいくものです。
そのため実際の外来では、
何の見えにくさもない方に対して、いきなり
「白内障です」とお伝えすることはあまりありません。
多くの場合、
- 見えにくくなってきた
- 以前よりかすむ気がする
- 車のヘッドライトがまぶしい
- 夕方になると見づらい
といった「変化の自覚」が出てきたタイミングで、
「実は白内障が始まっています」と説明することがほとんどです。
とはいえ、
その時点ですぐに手術をすすめるわけではありません。
白内障手術は「困り具合」で考えるもの
白内障手術を考える一番の基準は、
どれくらい困っているかです。
- 日常生活に支障があるか
- 仕事や運転に影響しているか
- 見えにくさがストレスになっているか
これらを総合して、
「今、手術をするメリットがあるかどうか」を判断します。
白内障があるからといって、
必ずしもすぐに手術が必要とは限りません。
眼科医が「急がなくていい」と判断する場面
見えにくさはあるが、生活は不自由していないとき
少し見えにくさを感じていても、
- 生活に大きな支障はない
- 運転や仕事は問題なくできている
- 日々の不自由さはそこまで強くない
このような場合、
「今はまだ様子を見ましょう」とお話しします。
白内障は進行のスピードも人それぞれで、
急いだからといって得になるわけではないからです。
工夫で対応できているとき
- 眼鏡を変えたら楽になった
- 明るさを調整したら見やすくなった
- 距離や使い方を工夫すれば困らない
こうした場合も、
今すぐ手術をする必要はありません。
手術は「できるからする」ものではなく、
「今の生活に必要か」「今より快適になるか」で決めるものです。
「不安」が先に大きくなっているとき
- 白内障と聞いて不安になった
- いずれ見えなくなるのではと心配になった
- 周囲が手術している話を聞いて焦った
こうした気持ちから、
「もう手術したほうがいいですか?」
と聞かれることもよくあります。
でも、
不安だけで手術を決める必要はありません。
このような方には、
「全く急ぐ必要はありません。今は経過観察で大丈夫です」
とはっきりお伝えし、
「いずれ白内障が進んで不便になったら、そのときに手術を考えましょう」
とお話ししています。
困っていなくても手術を考えたほうがいい「例外」
一方で、
見えにくさの自覚が強くなくても、
手術を考えたほうがいい場合もあります。
たとえば、
- 眼の構造上、将来のトラブルにつながる可能性が高い場合
- 閉塞隅角症など、放置すると緑内障のリスクが高まる場合
こうしたケースでは、
「今は困っていなくても、今のうちに手術を考えましょう」
とお話しします。
その際には、
なぜ白内障手術が必要なのかを、
眼の構造がイメージできるように
画像なども使いながら、なるべくわかりやすく説明します。
しっかり理解していただいたうえで、
手術の時期を一緒に決めていきます。
白内障手術のタイミングについての、私の考え
白内障手術は、とても完成度の高い手術です。
多くの方の生活が楽になる手術でもあります。
それでも私は、
必要以上に急がせたくありません。
その人の生活に合っていない時期に手術をしても、
満足度が高くならないことがあるからです。
だからこそ、
プロとして「今かどうか」を見極め、
一緒に考える時間が大切だと思っています。
また実は、
「白内障はあるけれど、手術はまだ先でもいい」
と言われた時期は、
- どんな眼内レンズが合いそうか
- 術後、どんな生活を目指したいか
をゆっくり考えられる大切な時間でもあります。
特に、多焦点眼内レンズを検討している場合は、
この期間にしっかり情報収集をすることができます。
焦らず、準備をして、
より満足できる見え方・生活を目指しましょう。


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