【バランス型多焦点レンズの選択肢】アクリバトリノバとは?

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズシリーズ〜光学ロスわずか8%、強度近視にも対応〜

白内障手術の目的は「見えるようになること」だけではなく、「どのように見えるか」もとても重要です。

パンオプティクスは遠方・中間・近方のすべての距離をバランスよくカバーできる点で、多くの方に支持されていますが、アクリバトリノバはパンオプティクスと同様、“バランス型”多焦点眼内レンズのカテゴリーに入るレンズです。

アクリバトリノバ(Acriva Trinova)というレンズは、屈折型3焦点に、EDOF(焦点深度拡張)型機能が追加されたデザインで、パンオプティクスのようなバランス型の仲間でありながら、焦点移行がスムーズであるというEDOF型の特徴も兼ね備えています。また、光の効率性や強度近視への対応力が特徴の選択肢です。


アクリバトリノバの特徴:光学性能と実用性の両立が魅力

遠方・中間距離に強みを持つバランス型設計

アクリバトリノバは、近方加入度数は+3.0Dで、近方焦点距離は約40cmに設定されています。そのため、読書やスマートフォンの操作など、近くを見る作業では、少し離して見る意識を持つことで快適な視界が得られます。バランス型ではありますが、遠方・中間距離に強みを持つバランス型多焦点眼内レンズです。

特徴①光学ロスの少なさ

アクリバトリノバは、光学ロスがわずか8%と非常に少なく、光透過率が92%と高いため、明るくコントラストの高い視界を実現しています。

特徴②EDOF(焦点深度拡張型)機能も追加されている

コントラストが高く、スムーズな焦点移行が期待できます。

特徴③高いアッベ数による色収差の抑制

アクリバトリノバは、アッベ数が58と非常に高い値を持つレンズです。アッベ数とは、レンズ素材の色分散の度合いを示す指標で、数値が高いほど色収差(色のにじみ)が少なく、シャープな見え方が得られます 。

一般的に、アッベ数が低いレンズでは、特に明るい環境や高コントラストの場面で、物体の輪郭に色のにじみが生じやすくなります。しかし、アクリバトリノバはアッベ数58という高い値を持つため、色収差が抑えられ、明るくクリアな視界を目指せます。

特徴④広い適応範囲

アクリバトリノバは、度数範囲が非常に広いため、強度近視の方にも適応が可能です。

📝 パンオプティクスとの比較:どちらが自分に合う?

項目アクリバトリノバパンオプティクス
レンズタイプ回折型3焦点+EDOF回折型3焦点
加入度数+1.5D、+3.0D+2.17D、+3.25D
光学ロス約8%(非常に少ない)約12%(多焦点IOLとしては標準的)
中間焦点約65cm(PC作業など)約60cm
近方焦点約40cm約40cm
ハローグレア少なめ(ハローグレアを軽減する回折デザインあり)あり
対応度数範囲広い(強度近視も可)標準範囲

🌸医師としての私見🌸アクリバトリノバをおすすめしたい方

アクリバトリノバは、光学ロスが少なく、コントラスト感度も良好な優れたバランス型多焦点眼内レンズです。遠方・中間・近方のバランスを取った設計ではありますが、実臨床では、バランス型とはいえ、遠方と中間距離に強みがあるレンズという印象があります。

体格の小さい日本人の方では、40cmという近方距離がやや遠く感じられることがあり、読書などでは老眼鏡の併用が必要になる場合もあります。そのため、近くを見るときには、少し離して見る意識を持つことが快適な使用につながります。

アクリバトリノバは、以下のような方に特におすすめです:

  • 遠方視力や中間距離視力を重視される方:スポーツをされる方や、楽器演奏を趣味にされている方、デスクトップパソコンを日常的に使用する方など、遠くから中間距離までの視界が重要な方に適しています。
  • 強度近視の方:オーダーメイド対応により、他のレンズでは適応が難しかった方にも選択肢が広がります。
  • 明るくシャープな視界を求める方:高いアッベ数と光エネルギーロスが最小限であることにより、色収差が少なく、コントラストの高い視界が得られます。

⭐️まとめ⭐️白内障手術後の見え方の質を重視する方に

アクリバトリノバは、バランス型で幅広いニーズに応えるレンズでありながら、高いアッベ数による色収差の抑制、光学ロスの少なさ、オーダーメイド対応の度数範囲など、見え方の質を追求する方にとって魅力的な多焦点眼内レンズです。遠方や中間距離の視力を重視される方、強度近視の方、明るくシャープな視界を求める方にとって、有力な選択肢となるでしょう。


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