テクニスオデッセイ〜見える未来への新たな選択肢

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズシリーズ

〜多焦点眼内レンズ「オデッセイ」とは?パンオプティクスに匹敵する汎用性かも?〜

白内障手術で視力を取り戻すだけでなく、老眼の不便さも軽減したい――

そんな願いに応えるのが「多焦点眼内レンズ」です。

今回は、2024年11月に登場したばかりの新しい多焦点眼内レンズ「オデッセイ(Odyssey)」について、すでに多くの患者さんに選ばれている「シナジー」や「パンオプティクス」との比較を通じて、その魅力をご紹介します。


オデッセイの特徴とは?

オデッセイは、遠方から中間、そして近方まで滑らかに連続した見え方を実現するよう設計されたレンズで、「遠くも近くも、自然にくっきり見える」ことを目指しています。

同社の前モデルである「テクニス シナジー」を改良し、コントラスト感度の向上ハロー・グレアの軽減を実現。日常生活での快適さがより高まりました。

オデッセイの主な特徴

項目内容
焦点距離約40cm〜遠方まで、滑らかな連続焦点
光学設計2焦点構造にEDOF技術を加えたハイブリッド設計
見え方の質コントラスト感度が高く、くっきり自然な視界
夜間視ハロー・グレアが少なく、夜間運転や暗所でも快適
瞳孔依存性瞳孔が大きくなる夜間でも安定した視界を維持
色収差補正コントラストがより良く、シャープな見え方が期待できる
残余屈折耐性度数ズレに対する寛容性が高く、術後の安定感あり
向いている生活パソコン作業、外出、読書、夜間運転など多様な日常

↑オデッセイと他の3焦点眼内レンズの焦点深度曲線(どの距離でどれだけ見えるのかをグラフにしたもの)です。

↑オデッセイは、多少の屈折誤差(ピントがずれること)があっても良好な視力がでます。

眼内レンズの度数は、通常0.5D(ディオプトリー)刻みで作られています。そのため、たとえ精密にその方の目の状態に合わせて度数を選んでも、完全にピッタリ合うとは限らず、わずかなずれ(屈折誤差)が生じることがあります。また、術後の屈折予想がわずかにずれることもあります。そのような屈折誤差が生じた場合にも問題ないレベルの視力が出やすいレンズです。

比較1:オデッセイ vs シナジー

オデッセイの先行モデルである、シナジーと比較した表です。

シナジーはより近方を重視する設計だったのに対し、オデッセイは「全距離バランス型」レンズです。シナジーよりもハローグレアが少なくなるように設計されています。

比較項目オデッセイシナジー
近方視力約40cm約30cm
夜間視ハロー・グレアが少なめやや強いとの報告あり
コントラスト感度良好やや低下することも
焦点の連続性なめらかな見え方近方にやや重心
向いている方夜間運転や暗所での活動が多い方読書や細かい手作業をよくする方

比較2:オデッセイ vs パンオプティクス

現在日本で最も使われている、「全距離バランス型」のレンズは「パンオプティクス」です。パンオプティクスと比較してみます。

比較項目オデッセイパンオプティクス
中間距離良好(約60〜80cm)約60cm程度
光学設計2焦点+EDOF(連続焦点型)3焦点
近方距離約40cm約40cm
コントラスト感度良い良い
ハロー・グレア少なめ中等度
向いている方PC作業や日常生活重視の方遠方視重視、アウトドア派の方

まとめ:
「パンオプティクス」は“視界のオールラウンダー”的なレンズとして広く知られていますが、中間距離をよく使う生活(たとえばPCや料理、デスクワークが多い方)には、「オデッセイ」のほうが快適な可能性も十分あります。

✅医師としての所感 〜期待のレンズ、オデッセイ〜

オデッセイは発売されたばかりの新しいレンズで、まだ使用経験は多くありません。

ですが、これまで私が信頼を寄せてきたテクニスプラットフォームがベースで開発されており、性能面への安心感と将来性を強く感じています

シナジーと比較すると、近方視の強さでは少し物足りなさを感じるケースもあるかもしれません。ただし、眼内レンズ度数のズレに対して寛容という特徴があり、術後の見え方の安定性が高いというのは、日常生活において大きなアドバンテージです。

実際には、±0.5D程度のズレが術後に生じることもありますが、そうした誤差を受け止めてくれる余裕のある設計は、患者さんにとって非常に心強いと感じています。

今後、症例を重ねていくなかで、「パンオプティクスに続き、あるいはそれを超える」新たな視界のオールラウンダーとして成長していくのではないかと、大いに期待しています。


⭐️オデッセイはこんな方におすすめ

  • 夜間運転や暗い場所での活動が多い方
  • 中間距離〜近方をバランスよく使いたい方
  • ハローやグレアなど光のにじみが気になる方
  • パソコン・スマホ・読書などが日常に多い方

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