ピュアシー(PureSee)とは? 自然な見え方を追求した新しいEDOFレンズ|ビビティ・アイハンスとの違いも解説

多焦点眼内レンズ

1. はじめに:EDOFレンズという選択肢

白内障手術では、眼内レンズの選択が術後の生活の質を大きく左右します。コントラストが良好で自然に見えるレンズとして「EDOF(焦点深度拡張型)」が注目されています。

「ピュアシー(PureSee)」は、EDOFの中でも自然な見え方と中間距離の視認性を高めた、新しいタイプのレンズです。

さらに、同じく選定療養で使用できる「ビビティ」や同じメーカーの保険診療で使用できる「アイハンス」との違い、臨床的な所感も含めてご紹介します。

2. ピュアシー(PureSee)とは

ピュアシーは、ジョンソン&ジョンソン社が開発した非回折型EDOFレンズで、2025年6月に日本でも販売が開始され、選定療養の対象となっています。

回折構造を使わず、光学面の工夫により焦点深度を広げることで、「単焦点に近い自然な見え方」を維持しながら、中間距離にもピントが合う設計です。

基本的な構造は同じメーカーの「アイハンス」と同じです。

→ブログ記事「アイハンス」参照

3. ピュアシーの特徴

  • 単焦点に近い自然な見え方

 回折型に比べ、コントラスト感度が高く、像がにじみにくい。

  • ハロー・グレアが非常に少ない

回折型レンズはどうしてもある程度ハローグレアが出てしまいますが、ピュアシーはハローグレアが単焦点レンズ並に少なく、夜間運転や暗所での視認性にも優れています。

  • 中間距離がしっかり見える

 50~80cm程度の作業距離に強く、PCや料理など日常生活との相性が良好。

  • 近方はやや弱め

 手元の細かい作業や読書には、老眼鏡が必要になることがあります。

↑左が回折型多焦点レンズ、真ん中がピュアシー、右が単焦点眼内レンズです。全て同メーカーの同じシリーズのレンズです。ピュアシーは単焦点眼内レンズと同等の夜間光視症で、夜間の運転時も見やすいです。

4. 他のEDOFレンズとの比較

特徴ピュアシー(PureSee)ビビティ(Vivity)アイハンス(Eyhance)
分類非回折型EDOF非回折型EDOF(X-Wave技術)機能性単焦点(準EDOF)
製造元J&J VisionAlconJ&J Vision
選定療養保険適応
遠方視力
中間視力
近方視力△(老眼鏡補助)△〜○(老眼鏡補助)×
ハロー・グレア非常に少ない少ない非常に少ない

5. 臨床的な私見

ピュアシーは日本では新しく登場したレンズですが、欧州ではすでに一定の症例数があり、焦点構造やプラットフォームはアイハンスと共通で安心感があります。

明視域はアイハンスよりも広く、Vivityと同程度と考えてよいと思います。メーカー公表のデータでは、50cmの距離で0.6強の視力が得られるとされており、近方のメガネが不要という方も出てくるかもしれません。

ピュアシー単体でも、かなりのメガネ依存度の低下が期待できますが、

  • 片眼だけピュアシーにするモノビジョン法や同じJ&J社のオデッセイとのミックス&マッチといった選択肢も将来的に考慮できる点が魅力です。

6. こんな方におすすめ

  • 夜間の運転が多く、ハロー・グレアを避けたい方
  • 中間距離を日常的に使う方(PC、料理、会話など)
  • なるべく自然な見え方でメガネ使用を減らしたい方
  • 手元の細かい作業や長時間の読書はあまりしない方(メガネを使っても良いという方)

7. 最後に

ピュアシーは、回折型レンズ特有の違和感が心配な方や、自然な視界を重視する方にとって、非常にバランスの取れたEDOFレンズです。

選定療養の対象であるため、保険診療に準じた価格帯で提供できるのも大きな魅力のひとつです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました