多焦点眼内レンズ「Clareon Vivity（クラレオン ビビティ）」とは？
白内障手術に使用する眼内レンズには、単焦点レンズと多焦点レンズがあります。
多焦点レンズには、「老眼を減らせる代わりに、夜間のハロー・グレア（光のにじみやまぶしさ）が起こりやすい」というデメリットがあります。
こうした課題に対して開発されたのが、Alcon社の「Vivity（ビビティ）」です。
Vivityは、ハロー・グレアを最小限に抑えながら、メガネ依存を減らすことをコンセプトとした多焦点眼内レンズです。
Vivityの特徴
🔹 回折型ではない「エクステンデッドビジョン」レンズ
Vivityは、従来の多焦点レンズとは異なり、「回折型」ではありません。
波面制御技術（X-WAVE™テクノロジー）によって、焦点を分割することなく、遠方から中間距離にかけて自然な連続視界を実現しています。
▶ X-WAVE™テクノロジーとは
独自の波面制御領域により、波面を引き伸ばし、同時にシフトさせることで、連続的に焦点を拡張する技術です。
（※メーカーでも専門的な表現が使われており、私自身もその原理を理解するのは難しいです。）
🔹 異常光視症（ハロー・グレア）がほぼゼロに近い
この独自構造により、ハロー・グレアの発生率は単焦点眼内レンズと同程度、0%に近いと言われています。
夜間運転や暗い場所での見え方が非常にすっきりしています。
🔹 コントラスト感度も単焦点IOLと同等
一般的な多焦点レンズでは、コントラスト感度（くっきりしたかんじ、薄暗いところで物を見る力）が多少低下する傾向があります。
しかし、Vivityでは単焦点IOLとほぼ同じレベルのコントラスト感度が維持されていると報告されています。
🔹 近方距離はやや弱め
50cm程度までの近方視力はあるものの、スマートフォンや読書などの近業には老眼鏡が必要となる場合が多いです。
「手元はメガネを使ってもいい」という考え方ができる方に向いています。
↑同じクラレオンシリーズの、単焦点レンズ、パンオプティクス（３焦点レンズ）、Vivityでの集光領域を示したグラフです。
PanOptix（パンオプティクス）との比較
〜「どんな見え方を重視するか」でレンズの選び方が変わります〜
多焦点眼内レンズとして、PanOptix（パンオプティクス）は多くの方に人気のある3焦点タイプのレンズです。
パンオプティクスは遠・中・近の3つの距離にそれぞれ明確な焦点を持つため、特に読書やスマートフォン操作など、近くを見たい方にも適しています。一方で、回折型という構造上、ハロー・グレアが出やすいという傾向もあり、夜間の運転が多い方や、コントラスト感度を重視したい方にとっては注意が必要です。
🔍VivityとPanOptixの比較表
| 比較項目 | Vivity | PanOptix |
| レンズタイプ | 延長焦点（EDOF）型（非回折型） | 3焦点レンズ（回折型） |
| ハロー・グレア | 非常に少ない（単焦点と同等） | あり（個人差あり） |
| コントラスト感度 | 単焦点とほぼ同等 | 少し低下の傾向 |
| 裸眼で見える距離 | 遠方〜中間距離中心 | 遠・中・近の3焦点が明瞭 |
| 手元（30〜40cm）の見え方 | メガネが必要なことが多い | 裸眼で見えることが多い |
| 向いている方 | 夜間運転する方／自然な見え方重視 | 読書・スマホ作業を裸眼でしたい方 |
| キーワード | 安全・快適・自然 | 見える範囲の広さ・利便性 |
Vivityはこんな方におすすめ
夜間の運転が多く、ハローグレアを避けたい
近くの細かい作業はメガネを併用してもOK
自然でクリアな視界を重視したい
中間距離での作業（パソコンや家事）が多い
「どこまでを裸眼で見たいか」「どんな場面を大切にしたいか」によって、最適なレンズは変わってきます。
🌸私の意見🌸
Vivityは「多焦点の壁」を越える選択肢
多焦点眼内レンズを検討する際、多くの方が「コントラスト感度が落ちる」「夜間にハロー・グレアが出る」といったリスクが気になることがあります。
Vivityは、この二つの大きなデメリットをほぼ克服している点が非常に魅力的です。
多焦点IOLにもかかわらず、
- ⭐️コントラスト感度は単焦点と同等
- ⭐️ハロー・グレアも単焦点と同レベル
というのは、夜間運転をされる方、特に夜道や高速道路を走ることが多い方にとって、とても心強い選択肢だと感じます。
確かに、スマホ操作や読書などの手元作業にはメガネが必要な場合がほとんどですが、
「夜間の見え方を重視したい」「なるべく自然な見え方をしたい」というニーズには非常にフィットします。
多焦点レンズ特有のデメリットに大きな不安を感じる方に、Vivityを検討できるかもしれません。
📖まとめ
白内障手術で視界をクリアにするだけでなく、
未来をもっと楽しむための「見え方」を選ぶ時代が来ています。
Vivityは、「自然な見え方」と「夜間の安心感」を重視する方への選択肢です。
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